県民運動ー食生活調査の結果が国際的な学術雑誌「PLOS ONE」に掲載されました
2018/02/27
県民運動での取組み
健康ひょうご21県民運動では、平成13年から、食事はバランス ごはん 大豆と減塩で元気なひょうご をキャッチフレーズに、食の健康運動を展開してきました。その一環で実施した食の健康調査では、家森幸男健康ひょうご21県民運動推進会議会長(兵庫県健康財団会長、武庫川女子大学国際健康開発研究所長、京都大学名誉教授)の指導のもと、健康診断や食生活調査を実施しています。中でも24時間採尿検査では、食塩摂取量や大豆摂取量、魚介類の摂取量などが推定でき、食生活改善の動機付けとなっています。
平成23年度~24年度に、県民運動開始から10年が経過したこともあり、県内14か所、地域住民及び事業所従業員 約600名を対象に、大規模な24時間採尿及び健康診断、食生活調査などを実施しました。これまで、これらの結果を学会等で発表してきましたが、今回、家森会長が世界的に著名な科学雑誌である「PLOS ONE」に投稿し、この度、掲載が決定しました。本文は英語ですが日本語に翻訳・要約したものをご紹介します。
https://doi.org/10.1371/journal.pone.0176039
大豆と魚 日本人の食と心血管病の特性
取組み成果の発信
兵庫県の公益財団法人兵庫県健康財団(会長 家森 幸男)は、武庫川女子大学の国際健康開発研究所との共同研究で、大豆や魚を食べる事が健康寿命を延ばすために大切であると最新刊の国際学術雑誌「PLOS ONE」で報告しました。
まず、WHOの協力を得た世界調査で集めた24時間尿のデータを日本人と比較して分析したところ、日本人は大豆と魚の両方をよく食べており、両方共、最も多く食べている人の中での日本人の割合は9割近くを占め、両方共食べていない人のグループの中では、日本人はいませんでした。(図1)よく大豆や魚を食べるのが和食の特徴と言えます。世界調査では、大豆をよく食べている人(図2)また、魚をよく食べている人(図3)ほど、心臓死が少ないことも分かりました。この両方共をよく食べている日本人は先進国の中で一番心臓死が少なくそれが日本人の平均寿命が世界一長い原因であると言えます。
次に、兵庫県下の各地で30~70歳代の約600人の方から集めた24時間尿で大豆のイソフラボン、魚介類のタウリンを分析し、大豆や魚の摂取の多少により、3分割したところ、大豆と魚を共に多く摂っている人々は、少ない人々と比べて動脈硬化を抑える善玉のHDLコレステロールが高く、その差は、男女のHDLの性差にも相当しました。(図4)つまり、HDLが低い男性でも大豆、魚をよく食べれば、動脈硬化の進行が抑えられて、女性並みの寿命の延伸も可能で、男女共に食事でさらに長寿になれると期待されます。また、大豆と魚を共に多く摂っている人では、心血管病を予防し、認知症も抑えると期待されるビタミンの一種、葉酸の血中の量が多いことが証明されました。(図5)しかし、大豆、魚を多く摂っている人は食塩の摂取量も多いので、食塩過剰のために脳卒中になる可能性もあります。
要するに「適塩」で大豆や魚を食べている食生活こそが、健康寿命を延伸する食生活として日本のみならず、世界の人々にも薦められます。
なお、この論文は、世界の人々が大豆と魚を食べることを薦めていますが、大豆は全生産量の7%しか直接人が食べていないので、なお多くの人に供給することも可能です。しかし、魚は地球上の人々が日本人のように食べると魚資源が枯渇する恐れもありますので、魚が育つ栄養として摂取している海藻自体を日本人のように直接食用として活用し、大豆、魚と共に海藻食を薦めれば、菜食者も多い世界の人々に、食による健康の未来が拓けると提言しています。
本研究の成果を日々の食生活の実践につなげていただくため、「ドクター家森の健康長寿食」を公開しています。
ぜひ、ご覧ください。
http://www.kenko-hyogo21.jp/kenko-hyogo21/syokujigyo/kenko-tyoujyushoku/
また、本研究をわかりやすくまとめた資料もご活用ください。