肥満とやせの両方が男性勤労者の連続30日以上病休リスクに関連(J-ECOHスタディ)

発信日:2020/02/25

 国立研究開発法人 国立国際医療研究センターが、2011年度に健康診断を受けた、企業で働く20~59歳の77,760人(男性66,166人、女性11,594人)を対象に行った研究。2012~17年の5年間に参加企業の産業医を通じて報告された長期病休(連続30日以上の病休)のケースをアウトカムとして肥満、やせとの関係を検討。肥満、やせの指標は、BMIを算出し、やせ(BMI 18.5 kg/m2未満)、正常(BMI 18.5-24.9 kg/m2)、過体重(BMI 25.0-29.9 kg/m2)、肥満(BMI 30.0 kg/m2以上)の4群に分類。

 男性においてはやせ、肥満の両方で長期病休のリスクの上昇がみられた(U字型の関連)。具体的には標準体重の群と比較して、長期病休のリスクはやせていると1.56倍、肥満であると1.81倍。女性においては過体重のみで長期病休のリスクの上昇がみられた(1.54倍)(上図参照)。
 併せて、参加者数が多かった男性について、長期病休の原因となった疾患別(身体疾患・精神疾患・事故/外傷)に解析した結果では、身体疾患、精神疾患ともに、肥満とやせの両方で長期病休のリスクの上昇がみられた。

 報告者は、「男性においては肥満とやせの両方が長期病休のリスク上昇と関連していることが明らか。また、長期病休の原因疾患別の検討では、身体疾患、精神疾患ともに、肥満とやせの両方で長期病休のリスクが上昇しており、勤労者や職場にとって適正体重の維持が重要であることを改めて示唆する結果。女性については過体重でのみリスク上昇の傾向が認められ、肥満ややせとの関連はみられなかった。女性の対象者が少なかったことも関連が見られなかった理由かもしれないので、より確たる結論を導くためにさらなる研究が必要」とまとめている。

※ 職域多施設研究(J- ECOH Study:Japan Epidemiology Collaboration on Occupational Health Study)。職域における多施設共同研究で、関東・東海に本社を置く12企業(約10万名)が参加した大規模なコホート研究

国立研究開発法人 国立国際医療研究センター
 「BMI and Medically Certified Long‐Term Sickness Absence Among Japanese Employees」(Obesity 電子版先行公開)
   https:/doi.org/10.1002/oby.22703

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