仕事中の座位時間が長いと、男性では膵がん、女性では肺がんのリスクが高い!(多目的コホート研究:JPHC Study)

発信日:2020/03/12

 仕事中の座位時間を1時間未満、1-3時間未満(基準)、3-5時間未満、5-7時間未満、7時間以上の5つのグループに分け、その後、平均約10年間の全てのがん罹患との関連を男女別に調査。全がん及び胃、食道、大腸、結腸、直腸、肝臓、膵臓、肺、腎臓、膀胱、前立腺、乳房、子宮体部における部位別に検討。分析にあたって、年齢、地域、肥満度、喫煙、飲酒、余暇の身体活動、糖尿病の有無などを統計学的に調整し、これらの影響をできるだけ取り除いた結果。
 男性では、統計学的に有意ではないが、職業性座位時間が長いほどがん全体の罹患リスクが高くなる傾向がみられた。
 部位別には、職業性座位時間が長いほど男性の膵がんの罹患リスクが高く、女性では、肺がんの罹患リスクが高いという関連がみられた(上図参照)。
 また、統計学的に有意ではなかったが1時間未満を基準としたときに、男性の結腸がんにリスクが高い傾向がみられた(傾向性p=0.06)。
 報告者は、「以上の理由として、身体活動の低下によるインスリン抵抗性の促進や慢性炎症などが、がん全体の共通したリスクと報告されており、特にインスリン抵抗性と関連のある膵がんでリスクが高かった可能性が考えられるが、はっきりとしたメカニズムはわかっていない。また、女性の肺がんについては、職場における肺がんのリスク要因と報告されている受動喫煙などの影響があった可能性も考えられる。さらに、欧米の研究では、職業性座位時間が長いことで、肥満を介して結腸がんのリスクになることが報告されており、今回の結果では欧米の研究ほどはっきりとした関連はみられなかったが、日本人男性においても職業性座位時間が長いほど、結腸がんのリスクが高くなる可能性が示唆された。」とまとめている。

※ JPHC Study (Japan Public Health Center-based prospective Study):厚生労働省がん研究班による多目的コホート研究

多目的コホート研究(JPHC Study)
「職業性座位時間とがん罹患リスクとの関連」
  https://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/8485.html

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