野菜は草か、長寿の素か(平成29年1月)
シルクロードのオアシスに住むウイグル族は、葡萄や瓜など果物や野菜をたっぷり食べて長寿の人も多くいました。ところが、少し離れたアルタイ山脈で羊の遊牧をして暮らすカザフ族は、60才以上の高齢者は少なかったのです。毎日馬に乗って羊を追って移動する生活ですから畑がありません。パオというテントの中で車座で囲む食卓は、羊の肉と脂肪、チーズなどで緑の野菜は全くありません。「どうして野菜を食べないのか」と尋ねますと「野菜は草で羊の食べ物、人間は食べない」とのこと。
それと全く同じ答えは、スコットランドでも聞きました。毎日の食事はお肉とパンにポテトチップ、それに塩をたっぷりかけて食べます。まさにこの地の伝統食がファストフードの原点で、残念ながら西ヨーロッパでここは最も心臓死が多く短命でした。(家森)
実は、野菜には、血圧を上げ脳卒中を増やす食塩の害を防ぐ味方が多いのです。食塩の元素で害を及ぼすのはナトリウムですが、野菜のマグネシウムはそれを細胞内から汲み出し、カリウムは腎臓から尿として追出し、食物繊維は腸からのナトリウムの吸収を抑えてくれます。
和食では、大豆や魚が多く摂れ、心臓死を防ぐにはとても良いのですが、塩分の摂り過ぎが問題だと県民運動の結果も示しています。塩分を控え、その害を防ぐ野菜を豊富に摂る事で、高血圧、脳卒中が防げ、寝たきりにならず健康寿命の延伸が可能です。毎朝のお味噌汁も、野菜、根菜の具沢山がお薦めです。
かぼちゃのごま味噌汁
材料:(2人分)
かぼちゃ | 120g(1/8個) |
---|---|
長ネギ | 1/2本 |
油揚げ(うすあげ) | 1/2枚 |
だし汁 | 300cc(1と1/2カップ) |
味噌 | 小さじ2杯 |
練りごま | 小さじ2杯 |
- エネルギー:
- 120kcal
- 塩分:
- 0.9g
- カリウム:
- 470mg
- マグネシウム:
- 50mg
- 食物繊維:
- 3.9g
作り方
- かぼちゃは、1cm厚さの薄切りにしてから、一口大に切る。耐熱皿に並べ、ラップをして電子レンジ(500w)で約2分加熱する(かぼちゃがやわらくなるまで)。長ねぎは1cmの輪切りにする。油あげも食べやすく切る。
- なべにだし汁と長ネギ、油揚げを入れて火にかけ、長ねぎがやわらかくなるまで弱火で煮る。
- かぼちゃと味噌を加えてひと煮立ちした火を止め、練りごまを加える。
- ※電子レンジを活用し、かぼちゃを煮込まないことで、煮崩れを防止できる。
ひとこと 栄養ポイント
カリウムは、調理によって損失しやすいミネラルです。青菜をお湯で茹でた場合は約半分が流出してしまいます。蒸し調理にしたり、汁ごと食べる料理にすると効率よく摂取できます。芋のカリウムは調理による損失が少ないといわれています。果物は調理をしないので効率よくカリウムが摂取できます。調理方法に気をつけるとともに、たっぷり食べることがカリウムをしっかり摂るポイントです。
腎機能が低下している場合は制限が必要です。
生活習慣病予防の観点からみた カリウムの目標摂取量 50~69歳 男性・女性 3,000mg/日